「ラミネートをもう一度かけたら、もっと丈夫になるのでは?」と考えたことはありませんか。
実は、ラミネートを2回通すことは可能ですが、やり方を間違えるとフィルムが波打ったり、ローラーに絡まったりと失敗の原因になることもあります。
この記事では、ラミネートを重ねてもきれいに仕上げるための正しい温度設定と厚みの選び方を、初心者にも分かりやすく解説します。
さらに、プロが実践しているおすすめフィルムや、うまくいかないときの対処法も紹介。
読み終える頃には、「2回通すよりもきれいに仕上げるコツ」がしっかり身につくはずです。
ポップ作りや掲示物を長持ちさせたい方は、ぜひ参考にしてください。
ラミネートを2回通すのは可能?基本の仕組みを解説

ラミネートを一度かけただけでは、思ったより薄く感じることがありますよね。
ここでは、ラミネートを「2回通す」ことが実際に可能なのか、そしてその仕組みについてわかりやすく説明します。
そもそもラミネートとは?仕組みと構造
ラミネートとは、印刷物を透明フィルムで熱圧着し、汚れや水分から守る加工方法のことです。
フィルムは一般的にポリエステル層(外側)と接着剤層(内側)の2層または3層構造になっています。
ラミネーター内部で熱と圧力を加えることで、接着剤層が溶けて紙と密着します。
つまり、表面をもう一度温めれば再び接着層が溶け、別のフィルムともくっつくことが可能になるのです。
| 層の名称 | 役割 |
|---|---|
| ポリエステル層 | 外側を保護し、ツヤや強度を出す |
| 接着剤層 | 熱で溶けて印刷物と密着する |
| 中間層(3層構造の場合) | 波打ちや反りを防ぎ、仕上がりを安定させる |
ラミネートの上からラミネートできる理由
ラミネートの上からもう一度ラミネートできるのは、外側の層が高温でも変形しにくいポリエステル素材だからです。
このため、表面を再加熱してもベースが溶けすぎることなく、新しいフィルムをきれいに密着させられます。
ただし、2回目のラミネートを行う前に、最初の加工部分を十分に冷ますことが重要です。
熱が残ったままだと、フィルムがふやけてローラーに絡まる原因になります。
ラミネート2回通しを成功させるコツ

ここでは、ラミネートを重ねて仕上げるときに失敗しないための実践ポイントを紹介します。
「冷ます」「温度」「厚み」この3つを意識することで、仕上がりの美しさが格段に変わります。
まずはしっかり冷ますことが大事
1回目のラミネートが終わったら、必ず数分間放置して冷ましましょう。
熱が残っている状態で再び機械に入れると、フィルムが柔らかくなりすぎてローラー内部に巻きつくことがあります。
完全に冷えた状態で2回目を行うのが、トラブルを防ぐ最大のポイントです。
温度設定はフィルムの厚さで変える
フィルムが厚くなるほど熱が伝わりにくいため、温度設定をやや高めに調整します。
ただし、一気に温度を上げすぎると波打ちや気泡の原因になります。
おすすめはまず低温(約100℃前後)で試してから、様子を見て上げる方法です。
ムラがある場合は、温度を5〜10℃ずつ上げて再度通すときれいに仕上がります。
| フィルムの厚さ | 目安温度 |
|---|---|
| 100ミクロン | 100〜110℃ |
| 150ミクロン | 110〜120℃ |
| 250ミクロン | 120〜130℃ |
重ねるときの「厚み」の限界をチェック
ラミネーターには「対応厚み」があります。
例えば家庭用タイプは0.6mm〜1.0mm程度が限界のことが多く、それ以上だとローラーに詰まる恐れがあります。
2枚重ねたい場合は、製品の仕様書にある最大厚を確認し、その範囲内で行うようにしましょう。
余白がある場合は切り落としてから2回目を通すと、見た目もきれいに仕上がります。
| ラミネーターの種類 | 対応厚み |
|---|---|
| 家庭用(A4対応) | 約0.6〜1.0mm |
| 業務用(A3対応) | 約1.0〜1.5mm |
失敗しないためのラミネートフィルム選び

ラミネートを2回通すよりも、最初から厚めのフィルムを使ったほうが仕上がりが安定します。
ここでは、厚口フィルムや構造の違いなど、用途に合った選び方を詳しく紹介します。
2枚重ねより「超厚口」フィルムを使うのがおすすめ
「厚みを出したい」とき、2回ラミネートするよりも、最初から超厚口(特厚)フィルムを選ぶ方が確実です。
たとえば250ミクロンのフィルムは、1回通すだけでプラスチックのような硬さになります。
2枚重ねで失敗するリスクや手間を考えると、結果的にコスパも良い方法です。
| 厚口フィルムの種類 | 特徴 |
|---|---|
| 100ミクロン | 一般的な厚さ。柔軟で扱いやすい。 |
| 150ミクロン | やや硬めで反りにくく、ポップに最適。 |
| 250ミクロン | 非常に厚く、看板などに使えるレベルの強度。 |
3層構造フィルムが失敗を防ぐ理由
ラミネートフィルムには2層構造と3層構造があります。
3層構造のタイプは、間に補強層が入っているため、熱をかけても波打ちしにくく、均一に圧着できます。
このため、仕上がりがより平滑で美しいのが特徴です。
特にポップやメニューなど、見た目が重要な印刷物には3層構造を選ぶのがおすすめです。
| 構造タイプ | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 2層構造 | 安価で手に入りやすい | 反りや波打ちが出やすい |
| 3層構造 | 仕上がりがきれいで失敗が少ない | やや価格が高い |
厚さ別の選び方(100・150・250ミクロン)比較表
厚さの違いは見た目や用途に大きく影響します。
数字が大きいほど固く重くなるため、掲示期間や使用環境に合わせて選びましょう。
| 厚さ | 用途 | 仕上がりの特徴 |
|---|---|---|
| 100ミクロン | 掲示物・資料・名札など | 柔らかく軽い |
| 150ミクロン | ポップ・メニュー表 | やや硬めで反りにくい |
| 250ミクロン | 屋外ポスター・看板 | プラスチック並みに強固 |
ラミネートがうまくいかない原因と対処法

せっかくラミネートしたのに「波打った」「気泡が入った」などのトラブル、経験ありませんか?
ここでは、よくある失敗の原因と、すぐにできる対処法を紹介します。
波打ち・シワ・気泡ができるときの原因
最も多い原因は温度の上げすぎです。
ラミネートは熱で接着しますが、高温になりすぎるとフィルムが柔らかくなり、内部の空気が逃げ切れず気泡が残ります。
また、紙に含まれる湿気が急に蒸発することでシワが発生することもあります。
対策としては、室温を安定させ、低温から少しずつ温度を上げていくのが効果的です。
| トラブル内容 | 主な原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 波打ち | 温度の上げすぎ | 温度を5〜10℃下げる |
| 気泡 | 湿気・フィルムのズレ | 乾いた紙を使用し、フィルムをしっかり密着 |
| シワ | 圧力不足または紙のたるみ | ラミネート前に紙をまっすぐにする |
適温に達していないときの見分け方
ラミネート直後にツヤが出ない場合、それは温度が足りていないサインです。
適温に達していないと接着剤層が溶けきらず、端が剥がれやすくなります。
このときは、同じ温度で再通しするのではなく、5〜10℃ほど温度を上げてもう一度通すと改善されます。
失敗したときにやり直すコツ
軽い波打ちや剥がれ程度なら、再度ラミネーターに通すことで修正可能です。
ただし、一度冷めたフィルムを再加熱する場合は、温度をやや低めに設定し、焦らずゆっくりとローラーを通すのがコツです。
完全に失敗した場合は無理にはがさず、原紙をコピーして再加工する方が安全です。
まとめ|2回通すより賢い方法で仕上げよう

ここまで、ラミネートを2回通す方法や注意点を紹介してきました。
最後に、この記事のポイントを整理して、上手に仕上げるためのコツをおさらいしましょう。
耐久性を上げたいなら「厚手+正しい温度」でOK
ラミネートを2回通すこと自体は可能ですが、仕上がりを安定させたいなら、最初から厚手のフィルムを使うほうが失敗しにくいです。
フィルムが厚くなるほど熱の伝わり方が変わるため、適切な温度設定が大切です。
100ミクロンで物足りないと感じたら、150ミクロンに変えるだけでも強度が大きく向上します。
「2回重ねる」よりも「1回で完璧に仕上げる」方が、美しさも耐久性も上になります。
| ポイント | 理由 |
|---|---|
| 厚手フィルムを使用 | 2回通すより安定した強度になる |
| 温度調整を丁寧に | 波打ちや気泡の防止につながる |
| 完全に冷ます | フィルムの歪みを防ぐ |
ポップ作りをもっときれいに仕上げるポイント
仕上がりをさらに美しくしたいときは、作業環境にも注目しましょう。
例えば、埃や湿気がある場所でラミネートすると、気泡が入りやすくなります。
作業前に机を拭く、フィルムを開封したまま放置しないなど、ちょっとした工夫が大切です。
冷却・温度・厚みの3つを意識すれば、誰でもプロのような仕上がりに近づけます。
ラミネートを使って、丈夫で長持ちするポップを作りましょう。
お店や教室の掲示物がぐっと見やすくなるはずです。

